桜が散っていく。
薄紅色の花びらが、雨のように、雪のように。
優しく、静かに、降り注ぐ。
道行く人は皆、少し上を見上げて、少し笑顔で。
あそこの顔色悪いサラリーマンのほんの少しの笑顔だって、きっとこの光景の賜物。
きっとリストラなんかされそうで、明日の見通しなんてなくって、でも家に帰ったって、冷めたご飯が待ってる。
そんなストレス社会と戦うサラリーマンの心を、ほんの少し救ってる。
とか、こんなことを想像したりね。
見ず知らずの人に、たいがい失礼ね、スーったら。
桜を見るたびに思い出す言葉があって。
「花が散っていくことが美しいのは、終わっていくことが悲しいことではないからなのね」
私の大好きな作品の言葉で。
そうか、すてきな考え方だわ。
と、とっても感動したので、よく覚えてるのだ。
ただ、単純に、スリムに。
装飾品なんて、本当に必要なものじゃない。
そんなものは外してしまって、余計なものは削ぎ落として。
それでも、抜身の刀身のような鋭さじゃなくって。
丸く、優しく、私が思う、美しさが欲しい。